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Re:about(in Japanese)

Posted on : December 30, 2004 (Thu) 22:23:49

by Kobayashi Kazuaki

>京都大学原子炉実験所の井原です。いつもお世話になっております。
>
>akaikkrの入力ファイル中で計算対象とする系に所属する原子のconcentrationについて質問があるのですが、2個の原子を含むbccユニットセルの計算を考えるとします。それで、入力ファイル中の構成原子の設定を以下のようにすると、片方の原子はFeに100%占められ、もう片方の原子は99%Feに1%Cuに占められている、と設定されるんですよね(一応の確認ですが)。
>(Feの原子番号:26)
>(Cuの原子番号:29)
>---入力ファイル中の構成原子の設定<ここから>---
>c type components rtin field l_max Z concentration
>c--------------------------------------------------------------
> Fe 1 0 0.0 2 26 100
> FeCu 2 0 0.0 2 26 99
> 29 1
>---入力ファイル中の構成原子の設定<ここまで>---
>
>それで質問なのですが、この場合の計算している系はどのようなものなのでしょうか?
>(ぼんやりとした問い方ですいません)
>つまり、電子状態等がFe99%Cu1%の割合でミックスされた仮想的な原子を(周期的境界条件によって得られる)全てのユニットセルの該当位置に置いているのか…
>はたまた、Fe2個を含むユニットセル(アとします)と、Fe1個Cu1個を含むユニットセル(イとする)があるとして、アとイのセルが99:1の割合で存在するような系を計算しているのか(でも、これだと実質的にア99個+イ1個で構成されるスーパーセルを計算しているのと同じですよね。そうなると、supercell4*4*4並みのかなり厳しい計算のはずなのですが)…
>どちらなのでしょう? それともどちらとも違いますか?
>
>よろしくご返答いただけると幸いです。
>
>井原隆文
>京都大学原子炉実験所

 物質・材料研究機構、計算材料科学研究センターの小林です。

 上記の計算は、おそらくKKR-CPAによる計算だと思われます。これは例えば2元合金で、
2種類の構成原子の配置のみがランダムな場合に使われるバンド計算手法です。

 もしKKR-CPAによるものだとすれば、これはおおまかに言えば、

>つまり、電子状態等がFe99%Cu1%の割合でミックスされた仮想的な原子を
>(周期的境界条件によって得られる)全てのユニットセルの該当位置に置いているのか…

 に相当する計算です。上記で、単純な濃度比を元にして作ったポテンシャルを使う
計算が仮想結晶近似と言うもので、ポテンシャルをセルフコンシステントに求めるよう
にしたのがCPA(コヒーレントポテンシャル近似)です。後半にあるスーパーセルを
使った計算を行うというものではないです。

(--@--は変なメイル対策)