古いバージョンのBBSは閲覧のみ可能です。
The old BBS is read only.
Replies : 3 Last Post : June 01, 2005 (Wed) 10:01:30
165
Volume optimization of PbTiO3, PZT (in Japanese)
Posted on : May 30, 2005 (Mon) 09:47:34
by Yukihiro Okuno
富士フィルム 奥野です。
お世話になっています。
さきほどおくったメールが文字化けしてしまいました。掲示板には
きちんと表示されているようですが。。
AKAI-KKRを利用して誘電体のvolume-optimization を
おこなおうとしています。
PbTiO3, PZT(Pb(Ti_{x}Zr_{1-x}O3 x=0.5)でためしてみたのですが
エネルギーの極小値がでずに格子定数の増加につれてエネルギーが単調に
現象するという結果が出てしまいました。
cubic相の格子定数をPbTiO3の場合 a=7.32 より0.02 刻みで7.45まで増やしていって
total energyを比較しようとしたのですが、エネルギーの極小値がでず単調に格子定数が
増すにつれてtotal energy が減っていくというおかしな現象がおこりました。
PZTのほうもCPAを利用して計算してみたのですが、格子定数a=7.64 よりa=7.91(!)まで
増してエネルギーの極小をさがしてみたのですがやはり格子定数をますにつれエネルギーが
単調に下る一方という状況になりました。
PbTiO3の実験値はそれぞれa=7.37 (au)となっております。
MT球の大きさが問題なのかと、MT球のデフォルト(MT球最大)からMT球の半径を固定して
おこなってみましたが結果は同じでした。
FeNi合金でためしに格子最適をおこなったのですが、これはそのような現象がおこりません
でした。
こういう現象への対処などご存知な方がいましたらご教示もらえると幸いです。
# for PbTiO3 input file AKAI-KKR
#----------------------- input data ----------------------------#
# go/ngo/dos/dsp/spc file name
go data/PbTiO3
#- primitive vector --------------------------------------#
# this aux option is only effective for newest versions of AkaiKKR
aux
1.000000000000 0.000000000000 0.000000000000
0.000000000000 1.000000000000 0.000000000000
0.000000000000 0.000000000000 1.000000000000
7.370000000000
#- edelt ewidth nrl/sra mjw/vbh/vwn mag/nmag/-mag/rvrs/kick ------#
0.002 1.3 sra vwn nmag
#- init/1st/2nd quit/update 0/1/2/../t/l/m/h/u iteration pmix -#
2nd update 12 100 0.008
#- number of type -----------------------------------------------#
3
# type components rtin field l_max Z concentration----------#
Pb 1 0. 0.000 3 82 1.00
Ti 1 0. 0.000 2 22 1.00
O 1 0. 0.000 2 8 1.00
# number of atoms------------------------------------------------#
5
#- position ---------------------------------------------- type -#
0.000000000000a 0.000000000000b 0.000000000000c Pb
0.500000000000a 0.500000000000b 0.500000000000c Ti
0.000000000000a 0.500000000000b 0.500000000000c O
0.500000000000a 0.000000000000b 0.500000000000c O
0.500000000000a 0.500000000000b 0.000000000000c O
# for PZT input file
#----------------------- input data ----------------------------#
# go/ngo/dos/dsp/spc file name
go data/PZT
#- primitive vector --------------------------------------#
# this aux option is only effective for newest versions of AkaiKKR
aux
1.000000000000 0.000000000000 0.000000000000
0.000000000000 1.000000000000 0.000000000000
0.000000000000 0.000000000000 1.000000000000
7.730000000000
#- edelt ewidth nrl/sra mjw/vbh/vwn mag/nmag/-mag/rvrs/kick ------#
0.0020 1.000 sra vwn nmag
#- init/1st/2nd quit/update 0/1/2/../t/l/m/h/u iteration pmix -#
2nd update 12 100 0.01000
#- number of type -----------------------------------------------#
3
# type components rtin field l_max Z concentration----------#
Pb 1 0. 0.000 2 82 1.00
O 1 0. 0.000 2 8 1.00
ZrTi 2 0. 0.000 2 40 0.50
22 0.50
# number of atoms------------------------------------------------#
5
#- position ---------------------------------------------- type -#
0.000000000000a 0.000000000000b 0.000000000000c Pb
0.500000000000a 0.500000000000b 0.500000000000c ZrTi
0.000000000000a 0.500000000000b 0.500000000000c O
0.500000000000a 0.000000000000b 0.500000000000c O
0.500000000000a 0.500000000000b 0.000000000000c O
166
Re:Volume optimization of PbTiO3, PZT (in Japanese)
Posted on : May 30, 2005 (Mon) 10:59:31
by Kobayashi Kazuaki
物質・材料研究機構の小林です。
この現象、やはり一番思い当たるのは、「ゴーストバンドが存在する
のではないか?」です。勿論、フェルミレベルより下にです。
可能なら、バンド構造を見てチェックできれば良いのですが、、、。
全電子計算を良く知る人の話として、全体の状態密度以外に、s,p,d別の
部分状態密度(可能ならば各構成元素別)を見てみてはどうか、ということ
でした。各部分毎に分けてみると、情報量が増えるので何か問題を見つけられる
可能性があります(下の文章も参照)。ゴーストがあるとすれば、
Pbの6s,6pや酸素の2p当たりが怪しいとのこと(勿論、これら以外がおかしいの
かもしれません)。勿論、ゴーストでない可能性もあります。
ただ、格子定数を増やして単調に全エネルギーが減少していくのは、かなり
深刻な破綻が起こっている可能性が高く、その原因は異常なバンドの存在か、
そもそもの計算設定に重大な見落とし、間違いが存在するとしか思えません。
PbTiO3の場合、過去にこれを計算した例があるはずで、それらの結果
(状態密度、部分状態密度など)と比較することも勧めます。
あとは格子定数を大きくすると、通常バンド幅は狭まるので関係ない
かもしれませんが、設定したバンド幅の範囲が足りないということくらい
しか筆者には思いつきません。エバルトの計算部分が悪さをする可能性
もありますが、筆者はコードの詳細を知らないので何とも言えません
(この可能性は多分かなり低いです)。
以上、何かのお役に立てば幸いです。
(---@---は変なメイル対策)
167
Re^2:Volume optimization of PbTiO3, PZT (in Japanese)
Posted on : June 01, 2005 (Wed) 01:17:48
by Yukihiro Okuno
拝啓 小林様
お返事ありがとうございます。
富士フィルム奥野です。
あれからPbTiO3などの計算を再度ためしてみました。
まず、ゴーストのほうですが、状態密度をみたかぎりではそれらしき
ものは存在しませんでした。(他の文献とあたって比較したかぎり
大きな違いはありません。状態密度しかみておりませんが。)
また、ewidthでのGreen関数の積分部分もcoreをひっかけてはいないよう
です。
で、重い元素が原因なのかとPbのfcc格子で実験したところ同じ症状
がおこってしまいました。
そこで、相対論的効果をscalar relativistiv からさらにスピン軌道相互作用
を加えた計算にしたところ、どうやらPbbの格子定数が極小をもって、格子の
大きさを増やしたら単調にエネルギーが減少するという症状はなくなりました。
極小値のところもそこそこ実験値に近いところのようです。
で、これで症状は直るかと再度PZTの計算を行っておりますが、これでも
まだ治らないようです。(やはり格子サイズとともにエネルギーが減少して
しまう。)残念。治るとおもったのですが。
重い元素のとりあつかいで、たとえば体積変化の最適値を計算する際に
MT球の半径や、スピン軌道相互作用などの効果がつよく格子定数変化に
依存するなどということはおこるものなのでしょうか?
以下Pb-fcc の入力ファイル。
srals をsra にして格子定数を増加
させるとエネルギーが単調にへる、というおかしな現象がおこる。
#####
#----------------------- input data ----------------------------#
# go/ngo/dos/dsp/spc file name
go ./data/Pb_fcc
#- primitive vector --------------------------------------#
# this aux option is only effective for newest versions of AkaiKKR
aux
0.000000000000 0.500000000000 0.500000000000
0.500000000000 0.000000000000 0.500000000000
0.500000000000 0.500000000000 0.000000000000
9.35
#- edelt ewidth nrl/sra mjw/vbh/vwn mag/nmag/-mag/rvrs/kick ------#
0.0010 1.00 srals vwn nmag
#- init/1st/2nd quit/update 0/1/2/../t/l/m/h/u iteration pmix -#
2nd update 8 100 0.02000
#- number of type -----------------------------------------------#
1
# type components rtin field l_max Z concentration----------#
Pb 1 0. 0.000 2 82 100.00
# number of atoms------------------------------------------------#
1
#- position ---------------------------------------------- type -#
0.000000000000a 0.000000000000b 0.000000000000c Pb
> 物質・材料研究機構の小林です。
>
> この現象、やはり一番思い当たるのは、「ゴーストバンドが存在する
>のではないか?」です。勿論、フェルミレベルより下にです。
> 可能なら、バンド構造を見てチェックできれば良いのですが、、、。
>
> 全電子計算を良く知る人の話として、全体の状態密度以外に、s,p,d別の
>部分状態密度(可能ならば各構成元素別)を見てみてはどうか、ということ
>でした。各部分毎に分けてみると、情報量が増えるので何か問題を見つけられる
>可能性があります(下の文章も参照)。ゴーストがあるとすれば、
>Pbの6s,6pや酸素の2p当たりが怪しいとのこと(勿論、これら以外がおかしいの
>かもしれません)。勿論、ゴーストでない可能性もあります。
> ただ、格子定数を増やして単調に全エネルギーが減少していくのは、かなり
>深刻な破綻が起こっている可能性が高く、その原因は異常なバンドの存在か、
>そもそもの計算設定に重大な見落とし、間違いが存在するとしか思えません。
>
> PbTiO3の場合、過去にこれを計算した例があるはずで、それらの結果
>(状態密度、部分状態密度など)と比較することも勧めます。
>
> あとは格子定数を大きくすると、通常バンド幅は狭まるので関係ない
>かもしれませんが、設定したバンド幅の範囲が足りないということくらい
>しか筆者には思いつきません。エバルトの計算部分が悪さをする可能性
>もありますが、筆者はコードの詳細を知らないので何とも言えません
>(この可能性は多分かなり低いです)。
>
> 以上、何かのお役に立てば幸いです。
>
>(---@---は変なメイル対策)
168
Re^3:Volume optimization of PbTiO3, PZT (in Japanese)
Posted on : June 01, 2005 (Wed) 10:01:30
by Kobayashi Kazuaki
物質・材料研究機構の小林です。
筆者もPbの計算は行なったことがあります。擬ポテンシャルによるものです
が、fcc構造でk点数は、89/(48-th BZ)←(8x8x8)、Scalar relativistic、
LDA関数形はWignerという条件で、平衡格子定数は2 %ほど実験値より伸び目に
出ました。本当は、LDAでは格子定数は短めに出るのですが、Pbでは伸び目に
出ました。これはおそらく筆者の扱った(作った)擬ポテンシャルに問題があ
るのだと思われます。ただ少なくとも極小は存在し、格子定数増加により全エ
ネルギーが単調に減少ということはありませんでした。
スピン軌道相互作用によりバンド構造には多少の違いが出ますが、筆者の知
る限りこの効果が格子定数に大きな影響を与えるという状況を見聞きしたこと
はありません。
そもそもPbTiO3(cubic perovskite構造)関連の過去の計算関連文献を見ても、
スピン軌道相互作用を考慮しないものがほとんどで、scalar relativisticの
範疇で格子定数は求まっているように思います。例えば文献、U. V. Waghmare
and K. M. Rabe, PRB55, 6161(1997)の表1。
一つ気付いたのですが、このAkai-KKRの計算では、core(semicore)と
valenceの扱いはどうなっているのでしょう?。擬ポテンシャルの計算でもTi
の酸化物の計算では普通内殻として無視する、Tiの3s、3pを価電子として扱わ
ないと計算がうまくいかない(格子定数などが求まらない)ことがあります。
Pb(fcc)単独の計算で格子定数が出ないことも、このcore(semicore)、
valenceの扱い(どこまでを内殻とし、どこからを価電子とするか)と関係が
ないでしょうか?。
Pbでスピン軌道相互作用を入れると格子定数に極小が出て、この条件で
PbTiO3(PZT?)で計算すると駄目というのも、化合物にすると通常は必要でない
内殻の状態が、化合物中の他の元素の電子状態との絡みで物性に影響を及ぼす
ためではないかと思われます。ただ、前述のようにPbはスピン軌道相互作用な
しでも格子定数はちゃんと計算すれば求まると思われ(Pbは、5dを価電子とし
て扱っていますでしょうか?)、同様にPbTiO3などもscalar relativisticで
格子定数は求まり、スピン軌道相互作用の影響はほとんど格子構造に対しては
ないと思われます。
あとは間違った対称性で計算していると変な結果を返すことがありますが、
これは可能性は低いでしょう。
過去の文献をざっと見ただけで的はずれ、勘違いもあるかもしれませんが、
この構造は安定性や磁気構造でいろいろ議論があるようで、割と計算条件に
敏感で、微妙な系のように思えます。その意味ではちょっとした条件設定の
間違いなどが強く結果に影響しているのかもしれません。場合によっては、
本家本元である赤井先生(赤井研究室)のところに直接ご相談されてみるのも
一手かと思います。
”MT球の半径”の格子定数への影響は、筆者には分かりません。
以上、的外れな指摘だった場合ご容赦下さい。何かの参考になれば幸いです。
(---@---は変なメイル対策)