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Replies : 7 Last Post : October 07, 2002 (Mon) 02:17:24

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Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 29, 2002 (Sun) 23:01:28

by Kazuhiro Okamura

赤井先生、小谷先生
先日のCMDワークショップ以来、Akai-KKRを使用させていただきありがとうございます。

初心者ゆえの疑問かもしれませんが、ご返答いただければ幸甚です。

入力ファイルでZ=0とし、原子空孔を想定した計算の出力で、空孔にもいくらかの電子が存在しており感覚的に腑に落ちません。
そもそも空孔は計算の中でどのように取り扱われているのでしょうか?

この疑問は、LiCoO2のLi欠損を想定したLi1-xCoO2の計算で、Oの電子数が8未満になるなど、各原子の電子数が???な状態になったことから生じました。欠損のないLiCoO2に対してはリーズナブルな結果を得ました。

 
 

22

Re:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 00:03:20

by Takao kotani

>入力ファイルでZ=0とし、原子空孔を想定した計算の出力で、
>空孔にもいくらかの電子が存在しており感覚的に腑に落ちません。
>そもそも空孔は計算の中でどのように取り扱われているのでしょうか?
>
>この疑問は、LiCoO2のLi欠損を想定したLi1-xCoO2の計算で、Oの電子数が8未満になるなど、
>各原子の電子数が???な状態になったことから生じました。欠損のないLiCoO2に対してはリーズナブル
>な結果を得ました。

岡村様、

LiCoO2でLiサイトに,たとえば,95%Liをいれて,5%Z=0のempty sphereを入れた計算をされたんですね?
このときのLiサイトのMT球には,それらの確率で,Liまたは,empty sphereが入ることになるわけです.
計算内部では,empty sphereが入ったときの
「今着目しているLiサイトにのみ原子が欠落している.(原子核がない)」
という不純物的な状況を考慮して解いていることになります.
たとえ,原子核がその位置になくても,いくらかは他の原子に属する原子軌道の裾野に
対応する電子が存在しているわけです.

また,酸素のサイトの全電子数が8以下になるとのことですが、それは大いにありえることです.
「イオンとしてOは-2で,電子数が8より多いはずだ!」ということではないかと思いますが、
それはちがいます.標準出力を見てもらえばわかるように,自動では、
実はかなり小さいMT半径を選んでいるはずです(と思います).で,そのMT内の電子数を
カウントしてるわけです.
電子状態計算で用いられるMT半径の概念は,イオン半径の概念とは全く違います.

で,とにかく,かなりの電子数はinterstitial regionにあることになります.

ホントのところは,MT半径に計算結果が,あまり依存しないのが望ましいわけです.
もちろん,できるだけ最適なものを選ぶべきです.で,一般的には,
「MT半径内の電子数ができるだけ電荷的に中性になるように」選ぶのがよい
とされています.要はMT potentialモデル(interstitial regionでフラット)が
できるだけ上手く成り立つような半径比の取り方が理想的なわけです.
まあ,実際これで結構うまくいくそうです.
が,いまのところAkaiKKRの現バージョンの自動設定では必ずしもそのようにはなっていないです.
そのうち,組み込むことになると思います.まあ,いまの自動設定値でも
それほど悪くないんだと思います.

他の例では,たとえば,MnOを計算するのにOのsphereの大きさは
Mnよりかなり小さく取ったりします.

AkaiKKRでは,Muffin-tin potentialを仮定しています.
(あるいは,asaのオプション(interstitialがない)も選べますけど).
Interstitialではフラットなポテンシャルです.
で,empty sphereは,
(1)そういう欠損のある問題をCPAで解く場合,
あるいは,
(2)異方性が大きくてMTポテンシャルをなんとか(まあ完全でないまでも)補正して
やりたいとき格子間隙にempty sphereを入れる.そうするとその内部のポテンシャルは
 Interstitialの値からずれることができる---ポテンシャルの記述の自由度が高くなるので
 よりよい解が期待できる.
で,使われます.

なんか的をはずした答えになっているかもしれません...

小谷

 

24

Re^2:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 01:03:18

by Kazuhiro Okamura

小谷先生、早速のお返事ありがとうございます。

>「MT半径内の電子数ができるだけ電荷的に中性になるように」選ぶのがよい
>とされています.要はMT potentialモデル(interstitial regionでフラット)が
>できるだけ上手く成り立つような半径比の取り方が理想的なわけです.
>まあ,実際これで結構うまくいくそうです.

なるほど、そうなっているのですね。
スピン分極の計算出力で、upとdownの電子数もMT内だけの電子をカウントしている
わけですか?

LiCoO2の場合、出力中でCo, Li, Oのtotal chargeは、それぞれ25.3, 2.56, 9.06となり
Coのvalence chargeはup、downともに3.66となりました。この化合物のCoはd6のlow spin
状態ですから、さもありなんと思っています。

Li siteに半分のvacancyを想定したLi0.5CoO2の場合、Co, Li, Vc, Oのtotal chargeは、
それぞれ26.8, 3.92, 1.27, 7.57となり、Coのvalence chargeはup、downともに4.38と
なりました。
この場合、Coのスピン配置はd5とd6の中間となり、いくらか分極してほしいと思ったわけです。

なおも疑問が残っています。
cmdtxt1.pdfの14ページ末に「今のakai-KKRの標準設定では、格子緩和の影響や不純物原子
位置以外での電荷の緩和を考慮した計算はできない」とありますが、これは今回の計算ですと
Li+が欠損することによる電荷補償がCo3+→Co4+となる「電荷の緩和」はできないという
意味でしょうか?
取り違えているかもしれませんがよろしくお願いします。

 

29

Re^3:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 16:18:43

by takao kotani

>スピン分極の計算出力で、upとdownの電子数もMT内だけの電子をカウントしている
>わけですか?
>
各原子に関する出力の部分はそういうことになります.

itterationの最後に出力される
itr= 40 neu 0.0000 chr,spn 8.8000 1.7584 intc,ints 0.9642 -0.0114
では,(interstitialもふくむ)全電荷,全磁気モーメント,
および,(interstitial部分の電荷,磁気モーメントが出力されています。


>LiCoO2の場合、出力中でCo, Li, Oのtotal chargeは、それぞれ25.3, 2.56, 9.06となり
>Coのvalence chargeはup、downともに3.66となりました。この化合物のCoはd6のlow spin
>状態ですから、さもありなんと思っています。
>
>Li siteに半分のvacancyを想定したLi0.5CoO2の場合、Co, Li, Vc, Oのtotal chargeは、
>それぞれ26.8, 3.92, 1.27, 7.57となり、Coのvalence chargeはup、downともに4.38と
>なりました。

LiとVcでの平均電子数はLiのときとあまり変わらないのに,
OサイトからCoサイトへえらく多くの(1.5個の)電子が移動していますね?
こういうことはありえるんでしょうか?
MT半径がかわってしまってないですか?---AkaiKKRだとデフォルトでは自動でMT半径を
適当に計算して与えますが、MT半径が違ってしまうと,MT内電荷数の比較もあまり意味がないですね。

>この場合、Coのスピン配置はd5とd6の中間となり、いくらか分極してほしいと思ったわけです。
これは,化学結合的な考え(Oが-2価で,Liが+1としてCoが何価か?)に基づいた議論ですね?
こういうことで議論できるかどうか,固体中でそういう描像が成り立つかどうかは場合場合によると思います。
バンドを作ることで(隣の原子と波動関数が混ざり合うことで)、そういう磁気的な分極効果は
一般には抑えられてしまいます。赤井先生(の信念)によるとLDAという近似においても,
磁気的分極などは,大きさはずれてしまうにせよ、
実験で磁気的分極があるのなら、およそLDAでも計算で出るであろう,とのことです.
(非常にTcが数Kelvinでモーメントがものすごく小さいような特殊な場合は疑問ですが。。。).

逆にいえば、バンド分散がなくて(隣とあまりつながっていなくて),
sp電子の軌道などとあまり混ざらないdバンドが存在するようであれば,
「結晶場中の孤立原子作るd軌道の描像,あるいはイオン的な描像」がよく
成り立つ場合もあるかと思います。


ちゃんと収束計算はできていますか?
一見収束したように見えてもDOSをある程度の幅で書いてみて,きちんと積分contourのなかに
うまくvalenceが収まっているかどうかの確認は必要です(赤井先生の言).

>Li+が欠損することによる電荷補償がCo3+→Co4+となる「電荷の緩和」はできないという
>意味でしょうか?
このへんは,いいかげんなマニュアルで申し訳ないです。。。
CPA計算では「まあそこそこできている」と思います。Coサイトの電子密度を計算する際には、
「Liサイトに有効散乱行列を置いて」計算することになります.
単純には,「LiサイトにランダムにLiとVcを置いたとしたときの,Coサイトでの電荷や状態密度
の結晶全体での平均」が,そこそこ計算できるだろうと思います。
でも状況によりますし,なんともいえません。


小谷

 

35

Re^4:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 23:15:03

by Kazuhiro Okamura

小谷先生、いつも懇切丁寧なお返事ありがとうございます。

>>スピン分極の計算出力で、upとdownの電子数もMT内だけの電子をカウントしている
>>わけですか?
>>
>各原子に関する出力の部分はそういうことになります.
>
>itterationの最後に出力される
>itr= 40 neu 0.0000 chr,spn 8.8000 1.7584 intc,ints 0.9642 -0.0114
>では,(interstitialもふくむ)全電荷,全磁気モーメント,
>および,(interstitial部分の電荷,磁気モーメントが出力されています。

 なるほど、出力については "readmecpa2002v005.txt"や"cmdtxt1.pdf"にも、あまり
詳しくは書かれてませんが(見れば分かるだろって?)、この部分はvalenceの
そういう意味を表しているのですね。

 発言するときには、最初に計算条件を明示すべきでしたが、本計算では sdftyp = mjwasa
としています。(LiCoO2はc軸方向に-O-Li-O-Co-の周期で面が重なった層状構造であるため
最初からasaありきで計算していました)
 ゆえに、この部分の出力は
LiCoO2で、
itr= 20 neu 0.0000 chr,spn 18.0000 0.0000 intc,ints 0.0000 0.0000
Li0.5CoO2で、
itr= 20 neu 0.0000 chr,spn 17.5000 0.0000 intc,ints 0.0000 0.0000
となっています。


>>LiCoO2の場合、出力中でCo, Li, Oのtotal chargeは、それぞれ25.3, 2.56, 9.06となり
>>Coのvalence chargeはup、downともに3.66となりました。この化合物のCoはd6のlow spin
>>状態ですから、さもありなんと思っています。
>>
>>Li siteに半分のvacancyを想定したLi0.5CoO2の場合、Co, Li, Vc, Oのtotal chargeは、
>>それぞれ26.8, 3.92, 1.27, 7.57となり、Coのvalence chargeはup、downともに4.38と
>>なりました。
>
>LiとVcでの平均電子数はLiのときとあまり変わらないのに,
>OサイトからCoサイトへえらく多くの(1.5個の)電子が移動していますね?
>こういうことはありえるんでしょうか?
>MT半径がかわってしまってないですか?---AkaiKKRだとデフォルトでは自動でMT半径を
>適当に計算して与えますが、MT半径が違ってしまうと,MT内電荷数の比較もあまり意味がないですね。

たしかに、MT半径が違ってます。
LiCoO2では、
type=Co rmt=0.21955 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 27. conc= 1.0000
type=Li rmt=0.25184 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 3. conc= 1.0000
type=O rmt=0.26653 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 8. conc= 1.0000
Li0.5CoO2では、
type=Co rmt=0.20935 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 27. conc= 1.0000
type=Li rmt=0.24147 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 3. conc= 0.5000
component= 2 anclr= 0. conc= 0.5000
type=O rmt=0.27405 field= 0.000 lmxtyp= 2
component= 1 anclr= 8. conc= 1.0000
となっていました。
両者の格子定数は同じ
bravais=rhb a= 9.50000 c/a=1.0000 b/a=1.0000
alpha= 33.40 beta= 33.40 gamma= 33.40
にしていますので、自動で適切なMT半径が与えられて計算されているのでしょう。

差電子密度の計算で得るような知見をAkai-KKRで得ようとすれば、
MT半径を固定して比較せよ ということになるのでしょうか?

岡村

 

36

Re^5:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 23:47:47

by Takao kotani

> なるほど、出力については "readmecpa2002v005.txt"や"cmdtxt1.pdf"にも、あまり
>詳しくは書かれてませんが(見れば分かるだろって?)、この部分はvalenceの
>そういう意味を表しているのですね。
いや,とにかく,マニュアル等は,ほんとに不備でもうしわけないです.


>たしかに、MT半径が違ってます。
>LiCoO2では、
> type=Co rmt=0.21955 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 27. conc= 1.0000
> type=Li rmt=0.25184 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 3. conc= 1.0000
> type=O rmt=0.26653 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 8. conc= 1.0000
>Li0.5CoO2では、
> type=Co rmt=0.20935 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 27. conc= 1.0000
> type=Li rmt=0.24147 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 3. conc= 0.5000
> component= 2 anclr= 0. conc= 0.5000
> type=O rmt=0.27405 field= 0.000 lmxtyp= 2
> component= 1 anclr= 8. conc= 1.0000
>となっていました。
>両者の格子定数は同じ
> bravais=rhb a= 9.50000 c/a=1.0000 b/a=1.0000
> alpha= 33.40 beta= 33.40 gamma= 33.40
>にしていますので、自動で適切なMT半径が与えられて計算されているのでしょう。
>
>差電子密度の計算で得るような知見をAkai-KKRで得ようとすれば、
>MT半径を固定して比較せよ ということになるのでしょうか?
そうですね.条件をそろえるには、LiCoO2で計算されている半径を
入力ファイルに書いてやって,Vcを入れる場合も計算したほうがいいようにおもいます.

でも,Li0.5CoO2のほうが,Oの大きさは大きいですね.
なのに,Oサイトに入ってる電子数が多くなってますね.

すこし心配です...
Vcの割合をいろいろかえてやって妙なことになってないか見たほうがいいかもしれません.

Li3Nは,ちょっと赤井先生に見てもらっています...

小谷

 

37

Re^4:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : October 01, 2002 (Tue) 00:16:01

by Kazuhiro Okamura

>>この場合、Coのスピン配置はd5とd6の中間となり、いくらか分極してほしいと思ったわけです。
>これは,化学結合的な考え(Oが-2価で,Liが+1としてCoが何価か?)に基づいた議論ですね?
>こういうことで議論できるかどうか,固体中でそういう描像が成り立つかどうかは場合場合によると思います。
>バンドを作ることで(隣の原子と波動関数が混ざり合うことで)、そういう磁気的な分極効果は
>一般には抑えられてしまいます。赤井先生(の信念)によるとLDAという近似においても,
>磁気的分極などは,大きさはずれてしまうにせよ、
>実験で磁気的分極があるのなら、およそLDAでも計算で出るであろう,とのことです.
>(非常にTcが数Kelvinでモーメントがものすごく小さいような特殊な場合は疑問ですが。。。).

 そうなんですよね。LiCoO2はリチウムイオン電池の正極材料なんですが、充電状態
すなわちLi1-xCoO2 (0出ないんです。同種の化合物でLiNiO2というのがありまして、これはこの状態でd7ロースピン
(S=1/2)のシングレットが測定され、Li1-xNiO2でxの増加とともにシグナル強度は減衰し
NiO2でd6ロースピンのdiamagnetismになります。余談になってしまいましたが・・・。

 たしかに、Li1-xCoO2においてCo 3d と O 2pとの混成は強いです。
FLAPWでは計算が重たいんでスピン分極の計算はしたことがないのですが、Non-spinの
計算でCoO2 (Liの全欠損状態)をみると、両者のバンドはほとんどoverlapしています。
そして、Li欠損の電荷補償にOが大きく関与しています。

 これまで、この種の電池材料の電子状態計算では、連続したLi欠損状態を取り扱った事例がなく
今回 Akai-KKRに期待していることは、力ずくのスーパーセル法から脱却できるのではないかと
いうことです。

 ということで今後ともよろしくお願いします。

岡村

 

52

Re^6:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)

Posted on : October 07, 2002 (Mon) 02:17:24

by Kazuhiro Okamura

今回の件、
ewidthを2.2Ryとし、酸素 2sのセミコアを範囲に入れることで
Li1-xCoO2の問題は片付いたように思えます。

x=0, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8 1.0について、Li siteに
empty sphereを相当する比率で導入した下記のような
input fileで、DOS、電荷、スピンがリーズナブルな
結果を得ました。

皆様、ありがとうございました。

c--- Li0.6CoO2 ---
go data/Li06CoO2
trg 9.50 1.0 1.0 33.4 33.4 33.4
0.001 2.2 nrl mjwasa mag 2nd
update 5 50 0.015
3
Co 1 0 0 2 27 100
Li 2 0 0 2 3 60
0 40
O 1 0 0 2 8 100
4
0.00000 0.00000 0.00000 Co
0.00000 0.00000 1.41502 Li
0.00000 0.00000 0.73014 O
0.00000 0.00000 2.09988 O