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Replies : 12 Last Post : October 02, 2002 (Wed) 22:20:07

21

KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 29, 2002 (Sun) 23:23:46

by Kazuhiro Okamura

連続の書き込みで恐縮です。
また前回の文書は改行がなく、読みづらくなってしまいました。すみません。

ところで、マフィンティン近似のKKRは、やはり構造異方性のある化合物の計算には
不適当なのでしょうか?

チッ化リチウムLi3Nは、六方晶でc軸方向にLi planeとLi2N planeとが交互に
積み重なった構造をしており、バンドギャップが1eVほどあるはずですが、
計算してみるとギャップがありません。
試しにasaもしてみたのですが、結果は同様でした。

 
 

23

Re:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 00:35:44

by Takao kotani

>ところで、マフィンティン近似のKKRは、やはり構造異方性のある化合物の計算には
>不適当なのでしょうか?
>
>チッ化リチウムLi3Nは、六方晶でc軸方向にLi planeとLi2N planeとが交互に
>積み重なった構造をしており、バンドギャップが1eVほどあるはずですが、
>計算してみるとギャップがありません。
>試しにasaもしてみたのですが、結果は同様でした。

異方性があってもpackingがよく,しかもasaでやってもDOSなどの結果が
あまりかわらないとすると,これは,必ずしも,MT近似のためでない可能性が高いです.

MTポテンシャルやASAは,「状態密度やバンド」等に関しては,
「ものすごくひどい」というわけではないです.
場合にもよるので,あてにはできないですが...
状態密度やバンドは,全エネルギー計算に比べると,数値計算としては,
比較的楽に求められる量です.

実際,Full-potential LAPWでやっても,酸化物や窒化物などの計算で,
「バンドギャップが出ずメタルになってしまう,あるいは,そうならないまでも
ほとんどギャップが出ない」ということはよくあります.

で,LDAという方程式レベルでの限界である可能性が高いように思います.
もちろん,わかってないので,間違っているかもしれないです.
まあそういう場合でも,全エネルギーについて,議論したりすることは,ある程度
意味があることであったりします.

まずは,KKRのMT近似が悪いのではないか?どうやってチェックすべきか?
とのとこですが、他の論文になっているような計算結果などを探して比較できないでしょうか?
(もちろんasaでまず試すのは賢明な方法だと思います).
まあ,ほんとはこういう場合は「他のLAPWなどでやってみる」というのが一番の
お勧めだと思います. まだ,そこまで整備できていなくて申し訳ないです.
近い将来には、ほとんど手間なく,浜田先生のLAPWなどでも
同時にテストできるシステムにしたいと思っているんですが...
マンパワーもなく,まだちょっと整備に時間がかかります...

(もちろん整備まで手助けしてくださる方がいれば大歓迎ですが,
そこまで無理を言えないですね...)


--------------------
それと相談してくださる場合、inputや出力の必要部分を,ちょっと添付してくださると
助かる場合もあるかと思います.もちろん場合によりますが...

 

25

Re^2:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 01:47:33

by Kazuhiro Okamura

小谷先生、レスポンスありがとうございます。

>まずは,KKRのMT近似が悪いのではないか?どうやってチェックすべきか?
>とのとこですが、他の論文になっているような計算結果などを探して比較できないでしょうか?
>(もちろんasaでまず試すのは賢明な方法だと思います).
>まあ,ほんとはこういう場合は「他のLAPWなどでやってみる」というのが一番の
>お勧めだと思います. まだ,そこまで整備できていなくて申し訳ないです.

Li3Nの計算事例としては、かのP. BlahaさんがWIEN(FLAPW)で
Hyperfine Interactions, VOL.51,NO.1/4 PAGE.917-923 1989 に発表してまして
ギャップは出現しています。

私は、LmtART(FP-LMTO)で計算してみましたが、メタルになってしまいました。

ひょってして、入力ファイルの原子位置が間違っていないかチェックしてみます。

なお、Li3Nの構造は、
P6/mmm(191), a=0.3648nm, c=0.3875nm
N 1a (0, 0, 0)
Li 1b (0, 0, 1/2)
Li 2c (1/3, 2/3, 0)


>--------------------
>それと相談してくださる場合、inputや出力の必要部分を,ちょっと添付してくださると
>助かる場合もあるかと思います.もちろん場合によりますが...

Akai-KKRのinputは
#---Li3N ---
go data/Li3N
hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
0.001 1.0 nrl vwn mag 2nd
update 5 50 0.020
3
N 1 0 0.0 2 7 100
Li_a 1 0 0.0 2 3 100
Li_b 1 0 0.0 2 3 100
4
0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
0.00000000 0.00000000 0.53111294 Li_a
0.28867513 0.50000000 0.00000000 Li_b
0.57735027 0.00000000 0.00000000 Li_b
でした。


※ 本題から外れますが、xbandで得られるLiCoO2 (hex)のsysファイルは変(bug?)でした。
LiCoO2の構造はR-3m(166)でして、hex(Z=3)とrhombo(Z=1)の2つのチョイスがありますが、
xbandでhexagonalで入力作成したsysファイルは、晶系がtrigonalとなり、原子位置はZ=1分しか
生成されません。ゆえに、Akai-KKR用のinpファイルも変になってしまいます。
(菱面体構造で作成すると正常です)

system data-file created by xband on Sun Sep 22 19:57:36 2002
LiCoO2.sys
Bravais lattice
10 trigonal primitive -3m D_3d
space group number (ITXC and AP)
166 428
structure type
UNKNOWN
lattice parameter A [a.u.]
5.329027287793
ratio of lattice parameters b/a c/a
1.000000000000 4.925531914894
lattice parameters a b c [a.u.]
5.329027287793 5.329027287793 26.248293981361
lattice angles alpha beta gamma [deg]
90.000000000000 90.000000000000 120.000000000000
primitive vectors (cart. coord.) [A]
0.577350269200 0.000000000000 1.641843970000
-0.288675134600 0.500000000000 1.641843970000
-0.288675134600 -0.500000000000 1.641843970000
number of sites NQ
4
IQ ICL basis vectors (cart. coord.) [A] RWS [a.u.] NLQ NOQ ITOQ
1 1 0.000000000000 0.000000000000 0.000000000000 3.039999999997 3 1 1
2 2 0.000000000000 0.000000000000 2.462765955000 2.620999999997 3 1 2
3 3 0.000000000000 0.000000000000 1.211680849900 1.899999999999 3 1 3
4 3 0.000000000000 0.000000000000 3.713851060100 1.899999999999 3 1 3
number of sites classes NCL
3
ICL WYCK NQCL IQECL (equivalent sites)
1 a 1 1
2 b 1 2
3 c 2 3 4
number of atom types NT
3
IT ZT TXTT NAT CONC IQAT (sites occupied)
1 3 Li 1 1.000 1
2 27 Co 1 1.000 2
3 8 O 2 1.000 3 4

 

28

Re^3:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 14:09:58

by Kobayashi Kazuaki

>小谷先生、レスポンスありがとうございます。
>
>>まずは,KKRのMT近似が悪いのではないか?どうやってチェックすべきか?
>>とのとこですが、他の論文になっているような計算結果などを探して比較できないでしょうか?
>>(もちろんasaでまず試すのは賢明な方法だと思います).
>>まあ,ほんとはこういう場合は「他のLAPWなどでやってみる」というのが一番の
>>お勧めだと思います. まだ,そこまで整備できていなくて申し訳ないです.
>
>Li3Nの計算事例としては、かのP. BlahaさんがWIEN(FLAPW)で
>Hyperfine Interactions, VOL.51,NO.1/4 PAGE.917-923 1989 に発表してまして
>ギャップは出現しています。
>
>私は、LmtART(FP-LMTO)で計算してみましたが、メタルになってしまいました。
>
>ひょってして、入力ファイルの原子位置が間違っていないかチェックしてみます。
>
>なお、Li3Nの構造は、
>P6/mmm(191), a=0.3648nm, c=0.3875nm
>N 1a (0, 0, 0)
>Li 1b (0, 0, 1/2)
>Li 2c (1/3, 2/3, 0)
>で
>
>>--------------------
>>それと相談してくださる場合、inputや出力の必要部分を,ちょっと添付してくださると
>>助かる場合もあるかと思います.もちろん場合によりますが...
>
>Akai-KKRのinputは
>#---Li3N ---
> go data/Li3N
> hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
> 0.001 1.0 nrl vwn mag 2nd
> update 5 50 0.020
> 3
> N 1 0 0.0 2 7 100
> Li_a 1 0 0.0 2 3 100
> Li_b 1 0 0.0 2 3 100
> 4
> 0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
> 0.00000000 0.00000000 0.53111294 Li_a
> 0.28867513 0.50000000 0.00000000 Li_b
> 0.57735027 0.00000000 0.00000000 Li_b
>でした。

 上記で、ちょっと疑問に思ったのですが、最初に、Li3Nの構造が、
P6/mmmとしてあるのに、実際のinputはhcp(P6/mmc)となっている
ように見えるのですが、ここでなにか間違いがないでしょうか?。

 論文:A. C. Ho, et al., PRB59, 6083(1999)(とその孫引き、
参考文献11など)
によると、P6/mmm構造では、uパラメーターはなく、P6/mmc構造で
は、uパラメーターがあります。自信はないのですが、上記のhcp(P6/mmc)
としての、uパラメーターの与え方もおかしいように見えるのですが、
いかがでしょう。

 

30

Re^3:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 16:40:32

by takao kotani

ぼくは,あまり結晶構造がよくわかってないのすが...
(空間群記号がじつはあまりよく読めません。。。)

AkaiKKRでは,現状では,hcpと入れても,hexといれても同じです。(いいかげんです...)
どうprimitive vectorを取るかだけの問題です。。。
とにかく,標準出力をむしろ読んでもらって,きちんと原子位置がはいっているかどうか?
primitive vectorが想定したものになってるか確認してもらう必要があります。

>※ 本題から外れますが、xbandで得られるLiCoO2 (hex)のsysファイルは変(bug?)でした。
>LiCoO2の構造はR-3m(166)でして、hex(Z=3)とrhombo(Z=1)の2つのチョイスがありますが、
>xbandでhexagonalで入力作成したsysファイルは、晶系がtrigonalとなり、原子位置はZ=1分しか
>生成されません。ゆえに、Akai-KKR用のinpファイルも変になってしまいます。
>(菱面体構造で作成すると正常です)
bugかどうかちょっとよくわかりません。
電子状態計算では,最小単位のprimitive vectorを取る必要があります。
*.sysファイルでは,「最小単位の結晶構造」が格納されるようになっているはずです.
で,conventialにとるならhexだが,そのときにはユニットセルが3倍の大きさになってしまう
というのなら,trigonalにとるということは大いにありえます。等価なのではないでしょうか?
考えてみます。。。



>>Akai-KKRのinputは
>>#---Li3N ---
>> go data/Li3N
>> hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
>> 0.001 1.0 nrl vwn mag 2nd
>> update 5 50 0.020
>> 3
>> N 1 0 0.0 2 7 100
>> Li_a 1 0 0.0 2 3 100
>> Li_b 1 0 0.0 2 3 100
>> 4
>> 0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
>> 0.00000000 0.00000000 0.53111294 Li_a
>> 0.28867513 0.50000000 0.00000000 Li_b
>> 0.57735027 0.00000000 0.00000000 Li_b
>>でした。
>
> 上記で、ちょっと疑問に思ったのですが、最初に、Li3Nの構造が、
>P6/mmmとしてあるのに、実際のinputはhcp(P6/mmc)となっている
>ように見えるのですが、ここでなにか間違いがないでしょうか?。
>
> 論文:A. C. Ho, et al., PRB59, 6083(1999)(とその孫引き、
>参考文献11など)
>によると、P6/mmm構造では、uパラメーターはなく、P6/mmc構造で
>は、uパラメーターがあります。自信はないのですが、上記のhcp(P6/mmc)
>としての、uパラメーターの与え方もおかしいように見えるのですが、
>いかがでしょう。
えっと,AkaiKKRの使用のいいかげんさによる誤解かもしれません。
hexとかhcpは,primitive vectorを与えてるだけです.
点群などは原子位置から,内部で計算してしまいます。。。

小谷

 

31

Re^4:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 17:21:37

by Kobayashi Kazuaki

>ぼくは,あまり結晶構造がよくわかってないのすが...
>(空間群記号がじつはあまりよく読めません。。。)
>
>AkaiKKRでは,現状では,hcpと入れても,hexといれても同じです。(いいかげんです...)
>どうprimitive vectorを取るかだけの問題です。。。
>とにかく,標準出力をむしろ読んでもらって,きちんと原子位置がはいっているかどうか?
>primitive vectorが想定したものになってるか確認してもらう必要があります。
>
(中略)
>>>Akai-KKRのinputは
>>>#---Li3N ---
>>> go data/Li3N
>>> hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
>>> 0.001 1.0 nrl vwn mag 2nd
>>> update 5 50 0.020
>>> 3
>>> N 1 0 0.0 2 7 100
>>> Li_a 1 0 0.0 2 3 100
>>> Li_b 1 0 0.0 2 3 100
>>> 4
>>> 0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
>>> 0.00000000 0.00000000 0.53111294 Li_a
>>> 0.28867513 0.50000000 0.00000000 Li_b
>>> 0.57735027 0.00000000 0.00000000 Li_b
>>>でした。
>>
>> 上記で、ちょっと疑問に思ったのですが、最初に、Li3Nの構造が、
>>P6/mmmとしてあるのに、実際のinputはhcp(P6/mmc)となっている
>>ように見えるのですが、ここでなにか間違いがないでしょうか?。
>>
>> 論文:A. C. Ho, et al., PRB59, 6083(1999)(とその孫引き、
>>参考文献11など)
>>によると、P6/mmm構造では、uパラメーターはなく、P6/mmc構造で
>>は、uパラメーターがあります。自信はないのですが、上記のhcp(P6/mmc)
>>としての、uパラメーターの与え方もおかしいように見えるのですが、
>>いかがでしょう。
>えっと,AkaiKKRの使用のいいかげんさによる誤解かもしれません。
>hexとかhcpは,primitive vectorを与えてるだけです.
>点群などは原子位置から,内部で計算してしまいます。。。
>
>小谷

 小谷さんコメント感謝です。疑問の一つは解決しました。
 ただ、それでもまだ上記には疑問が残ります。

 それは、前の筆者の書き込みでも書いた、最初、P6/mmmとして考える
なら、前の筆者の書き込みで参照した論文によると、uパラメーターは
ないはずで、その場合、上記の原子位置の数値はもっとすっきりした値
(例えば、0.2886云々は、0.3333というようになるはず)になると思い
ます。
 上記の数値の、0.57735(Li b)の値は、先の論文のP6/mmc(hcp)構造
でのuの値(=0.5776に酷似)から推測するに、上記の原子位置の数値は、
P6/mmc(hcp)としての入力データになっているようです。これは最初の
P6/mmmと矛盾するように見えます。

 また、もし上記でuパラメーターがある構造(P6/mmc)を採用すると
しても、この場合、おそらくセル内の原子数は4つより多いと思います。
 ここら辺は、自信も確証もないのですが、P6/mmc(hcp)の構造をもつも
ので、uパラメーターの類がある構造でセル内の原子数が4つのものがな
いように思えます(これはもっと調べる必要あり)。

 

32

Re^5:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 17:36:00

by takao kotani

AkaiKKRでは,基本原子位置は,カーテシアンで入れるのがデフォルトです。
primitive vectorは,hcpなどのキーワードで選択されます。
それが具体的にどうなってるかは,prmvec.fだったかのルーチンをよむか
標準出力を見れもらえばわかります。

あるいは,primitive vectorの座標で入れたいときは、
-----------------------------------
P6/mmm(191), a=0.3648nm, c=0.3875nm
N 1a (0, 0, 0)
Li 1b (0, 0, 1/2)
Li 2c (1/3, 2/3, 0)
-----------------------------------
なら
0.00000000a 0.00000000b 0.00000000c N
0.00000000a 0.00000000b 0.50000000c Li_a
0.33333333a 0.66666666b 0.00000000c Li_b
(もうひとつも適当に入れてください。)

と入れてやってください。

小谷

 

34

Re^3:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : September 30, 2002 (Mon) 20:37:55

by takao kotani

>
>Li3Nの計算事例としては、かのP. BlahaさんがWIEN(FLAPW)で
>Hyperfine Interactions, VOL.51,NO.1/4 PAGE.917-923 1989 に発表してまして
>ギャップは出現しています。
Li3Nで検索しました。新しい論文では,PRB53,9084がありますが、おっしゃるとおりLDA
で,1eV程度のギャップがアクみたいですね。
ざっとみても,LiNみたいな物だと
(なんかぼくはLaと勘違いしてたのか妙なことを言ったかもしれないです。),
そんなにLDAは悪くないような気がします。
まあ,LDAギャップで1.1eV実験で2.2eVとかいうのは,大いにありえることですが、
全エネルギーなどは結構信頼できるでしょう。。。

で,このエネルギーバンドが再現できないと,まえにすすめないですね,確かに...
ちょっと見てみます。

 

39

Re^3:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : October 01, 2002 (Tue) 16:36:53

by takao kotani

LiN3のチェックをしています。
FP-LMTOでもAkaiKKRでもおよそ文献値のようになりそうです.
empty sphereを入れたりする必要があるようです。
ちょっと待ってください。
小谷

 

40

Re^3:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : October 01, 2002 (Tue) 19:50:44

by takao kotani

岡村様,

Li3Nですが,

#---Li3N ---
go data/Li3N
hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
0.001 1.2 nrl vwn nmag 2nd
update 4 50 0.020
4
N 1 0 0.0 2 7 100
Li_a 1 0 0.0 2 3 100
Li_b 1 0 0.0 2 3 100
Vc 1 0 0.0 1 0 100
6
0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
0.00000000 0.00000000 0.50000000c Li_a
0.33333333a 0.66666666b 0.00000000 Li_b
0.66666666a 0.33333333b 0.00000000 Li_b
0.33333333a 0.66666666b 0.50000000c Vc
0.66666666a 0.33333333b 0.50000000c Vc

でいけると思います。およその確認をしましたが、ギャップも1.3eVぐらいですし,
その他の値も,文献値とよくあっているようです.
ポイントがいくつかあります.

1. まずspecx.fのmsizexですが,54ぐらい以上になっているでしょうか?
もし36とかだとトラブルが発生します.dosを書かせてみると非常に1より大きいマイナスの値,
が入ってたりします。
安全をみて足りない場合はストップするはずなんですが実は現状ではそうなっていません
(バグです---いま赤井先生が直してます).
readmecpa2002v005.txtをみて適当な値をセットしてください。

2.ewidthを1.2Ryにとりました.
DOSプロットをしてもらってもわかりますが、Nの2S-coreレベルがフェルミエネルギーから0.85Ry
ぐらいのところにあります。これはある程度,dispersionをもつセミコアレベルです。
これをちゃんと考慮に入れるには,これを十分にカバーする幅のewidthがいります.
1.0ぐらいだと,収束の際行ったり来たりするし,変なことも起こりえるので、
ある程度,大きめにとったほうがいいです。
こういうのがうまく行ってるかどうかは現状では,dosをかかせて(書かせるときには,
場合によればewidthをひろげたりするひつようもある---収束がうまくいかない場合もヒントになります)
チェックする必要があります。

3.empty sphereを入れる必要があります。それでないとこういう場合にMTpotentialは苦しいです。
このばあいなら明らかに,Li_a層に広い空隙がありますから
そこを中心にして,Z=0のVcをいれました.

4. 0.33333333a 0.66666666b 0.00000000 Li_b
などとして,a,b,cなどをつけ,primitive vectorを基本にしてデータを入れました。
このほうが簡単な場合も多いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
でバンドプロットは直接にはできないんですが、spcモードでだいたいはできます.
#---Li3N ---
spc data/Li3N
hcp 6.894 1.062 1.0 90.0 90.0 120.0
0.001 1.2 nrl vwn nmag 2nd
update 4 50 0.020
4
N 1 0 0.0 2 7 100
Li_a 1 0 0.0 2 3 100
Li_b 1 0 0.0 2 3 100
Vc 1 0 0.0 1 0 100
6
0.00000000 0.00000000 0.00000000 N
0.00000000 0.00000000 0.50000000c Li_a
0.33333333a 0.66666666b 0.00000000 Li_b
0.66666666a 0.33333333b 0.00000000 Li_b
0.33333333a 0.66666666b 0.50000000c Vc
0.66666666a 0.33333333b 0.50000000c Vc
0.0 0.0 0.0
0.0 0.0 0.5

(最後はかいぎょうしてください.)
とすると,(0,0,0),(0,0,1/2)に対するImG(k omega)が,data/Li3n.spc
に出力されます。で,これのピーク位置がエネルギー固有値です。
もちろん,alloyでない場合(ストイキオメトリックな場合)
はdelta関数的なはずですが、ちょっとわざと幅を持たせて書いています。
で,何もないはずのところにも裾野で和すかに値がのこっています.
(0,0,1/2)では不思議なことになぜか裾野でも47程度の大きい値になっていますが、
この底上げは、赤井先生が単にプロットの都合上そうなるようにしているので、
非常に便宜的なものです(いやらしいので次のバージョンではとりはらってもらいます)

小谷

 

41

Re^4:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : October 02, 2002 (Wed) 01:10:32

by Kazuhiro Okamura

赤井先生、小谷先生
ありがとうございました。

早速、ご回答頂いた条件で計算してみます。

Akai-KKRにはいろいろと使いこなしの技がありそうですね。

今回、得られた教訓としては、

1.(P)DOSの値が負の大きな値になっているときにはmsizexを大きくしてみる。

2.デフォルトでコア電子として扱っているものでも分散が大きいときにはewidthを大きくする。
0040> こういうのがうまく行ってるかどうかは現状では,dosをかかせて(書かせるときには,
0040> 場合によればewidthをひろげたりするひつようもある---収束がうまくいかない場合もヒントになります)
0040> チェックする必要があります。

3.空隙の大きいところにはempty sphereを入れてみる。
 (しかし、対称性の高い材料で、空間群の特殊位置に入れるのは簡単ですが、
  一般位置だったりすると座標を探すのが大変そうですね)

4.原子位置の指定には
 0.33333333a 0.66666666b 0.00000000 Li_b
 などの裏技が(ソースを見れば分かることなんでしょうが)あった。

そして、表題に対する結論として
構造異方性のある材料でも、packingがよければ、
0023> MTポテンシャルやASAは,「状態密度やバンド」等に関しては,
0023>「ものすごくひどい」というわけではないです.
0023> 場合にもよるので,あてにはできないですが...

ということで、締め括らせて頂いてよろしいでしょうか。

☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆

話題として、Li3NのComputatonal Material Design (CMD)に関して一言、

Li3NのLiの一部を遷移金属(例えば、Co, Ni)に置換した材料は
リチウムイオン電池の反応材料として研究開発されています。
Li3Nは有名なLiイオン伝導体であり、これに酸化還元反応の機能を付与させれば、
電池の電極反応材料となるわけです。

私はこれまで、この種の固溶体材料のCMDを行うためにもっぱら
DV-Xα法などのクラスタ計算を用いてきました。
理由は、FLAPWなどのBand計算で固溶体材料を扱うには計算負荷が増大すること、
クラスタ計算はポピュレーション解析などを通じて、実空間での化学的(?)イメージが
つかみやすいこと などです。

KKR-CPA計算は、現実の工業材料のCMDに対して、もっと有効に活用できる
計算方法になるのではないかと思っています。

今後のAkai-KKRの発展を祈念しています。
セルフコンシステント計算後のpost処理の充実を期待しつつ・・・

☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆

spcモードについては、readmecpa2002v005.txtで簡単に説明されていますが
いろいろ試してみて、また発言させていただくかもしれませんが、
よろしくお願いします。
例えば、
0.0 0.0 0.0
0.0 0.0 0.1
0.0 0.0 0.2
0.0 0.0 0.3
0.0 0.0 0.4
0.0 0.0 0.5
などとすると、スパゲティもどきの描画ができるのでしょうか?
とりあえずやってみます。

岡村

 

43

Re^5:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : October 02, 2002 (Wed) 15:13:16

by takao kotani

>Akai-KKRにはいろいろと使いこなしの技がありそうですね。
>
というより,まだまだ幼稚で完成されてないということなんです。
まだペンシルロケットあるいは鉱石ラジオの段階なんですね。
いちいち鉱石をなぞっていいところをみつけてやらないと答えでないんですよ。
あと10年か20年ぐらいで月まで飛んで行くような強力なものにしたいですが、
いろいろと大変な点が多いです...

ほんとLDA計算ぐらい原子位置さえ入れれば、
ビシッと答えを出して欲しいんですが、まだまだです.

でも,ほかのコードでも,おそらくそんなに違わないんじゃないかとおもいますが...
(表面的に自動化されていても,いろいろなものが適当に決められているだけで,
うまくいかない場合も多かったりするのではないかと思います。
でもVASPなどだと,もっともっと安定してるのかもしれません.)

>1.(P)DOSの値が負の大きな値になっているときにはmsizexを大きくしてみる。
あとで赤井先生を捕まえて,修正ルーチンをポストします。


>2.デフォルトでコア電子として扱っているものでも分散が大きいときにはewidthを大きくする。
>0040> こういうのがうまく行ってるかどうかは現状では,dosをかかせて(書かせるときには,
>0040> 場合によればewidthをひろげたりするひつようもある---収束がうまくいかない場合もヒントになります)
>0040> チェックする必要があります。
そうですね.というか,いまのばあい,1.0Ryとかが中途半端で,それこそ,コアを
半分とりいれて妙な収束にいたったりしてしまう可能性があるということです。
積分経路の左端は,状態密度ができるだけきれいにゼロになっているところがいいわけです。

>
>3.空隙の大きいところにはempty sphereを入れてみる。
> (しかし、対称性の高い材料で、空間群の特殊位置に入れるのは簡単ですが、
>  一般位置だったりすると座標を探すのが大変そうですね)
場合によれば,難しいです。xbandがある程度探してくれますが,xbandもそんな信頼性が
高いわけではないと思います。


>4.原子位置の指定には
>  0.33333333a 0.66666666b 0.00000000 Li_b
> などの裏技が(ソースを見れば分かることなんでしょうが)あった。
えっと,一応,cmdtxt1.pdfのp.25のはじめに書いておいたつもりでしたが、例もないし,
不親切ですね。。。申し訳ない。


>そして、表題に対する結論として
>構造異方性のある材料でも、packingがよければ、
>0023> MTポテンシャルやASAは,「状態密度やバンド」等に関しては,
>0023>「ものすごくひどい」というわけではないです.
>0023> 場合にもよるので,あてにはできないですが...
例えばsiなんかなら,empty sphereを結合の逆位置に入れてbcc的 packingにしてやって
asaでやるとband gapなんかはうまく出ます。
(すくなくともバンドに関しては,asaがbetterです---やはり
interstitialがないほうがいいんだと思う)
が,なんかいいかげんで申し訳ない。
まあまたなんかあったら書いてください。


岡本さんの話をちょっと聞いても,やはり物理学会でのわけのわからん話より,
やはり「役に立つ材料」の話のほうが面白いように思います。物理のひとのやってる
小難しい話は,ほんとしばしば「なんのためにやってるの?」といいたく
なることが多いです---なんか本末転倒的に「こむずかしいからありがたい」
みたいな意味不明の袋小路的思想があります.

ほんとどれだけのことができるかは,未知な部分も多いですが、
材料開発の現場におられる方とコンタクトを取りつつ,
いろんなことをやっていくのがいいんじゃないかと思っています。
方法論の開発などもニーズや重要度を
見極めつつ優先順位をつけてアタックしていく必要があります。
粘り強くやっていきたいと思っていますので
よろしくおねがいします...

基礎的なプログラムや方法論の開発は「こんな風に応用したらこんな予想がでました!」
みたいな派手な話に比べると陰気だし人も少ないし、予算もつきにくいし(工学部の人は
金を取ってくるのがうますぎる),なかなかしんどい業界なんですが、本質的に重要です
(まあ,どうかなーと思うような話も多いですが。。。).
もちろん,どう適用していくか?もすごく重要なんですが、同時に
「きちんと方法論やプログラムを開発していくこと」も同じぐらい重要です,といいたいです.
せめて予算の半分は,こういう陰気な分野につけていただきたいです(という愚痴です).

10年もたったら世界的に「電子状態計算コード」は,かなり整理統合が進んでくると思います。
このままでは日本発のものは,開発者(=利用者)がいなくなったら,
そのまま衰退しなくなっていくものがほとんどだろうと思います。
大体が,中途半端に世界の後追いしても仕方ないです。ソフトウエアはロケット
とかとはだいぶ違うんですね----1個作るのと1億個作るのの手間は同じなんですから。。。

でも,AkaiKKRは,いくつか重要な特徴があって,
10年後でも世界レベルでの競争に勝ち残り,電子状態計算のレベルを底上げできる
可能性が結構あると思います。赤井先生におべんちゃらを言う気はまったくない
です---これから,赤井先生がクレバーにやれるかどうかにかかっているでしょう。
くそまじめ(いい点でもあるんですが)はやめてもらいたい.

どうもうだうだ書いてすみません。

小谷

 

49

Re^6:KKR is not suitable for non-isotoropy structure? (in Japanese)

Posted on : October 02, 2002 (Wed) 22:20:07

by Kobayashi Kazuaki

>岡本さんの話をちょっと聞いても,やはり物理学会でのわけのわからん話より,
>やはり「役に立つ材料」の話のほうが面白いように思います。物理のひとのやってる
>小難しい話は,ほんとしばしば「なんのためにやってるの?」といいたく
>なることが多いです---なんか本末転倒的に「こむずかしいからありがたい」
>みたいな意味不明の袋小路的思想があります.
>
>ほんとどれだけのことができるかは,未知な部分も多いですが、
>材料開発の現場におられる方とコンタクトを取りつつ,
>いろんなことをやっていくのがいいんじゃないかと思っています。
>方法論の開発などもニーズや重要度を
>見極めつつ優先順位をつけてアタックしていく必要があります。
>粘り強くやっていきたいと思っていますので
>よろしくおねがいします...
>
>基礎的なプログラムや方法論の開発は「こんな風に応用したらこんな予想がでました!」
>みたいな派手な話に比べると陰気だし人も少ないし、予算もつきにくいし(工学部の人は
>金を取ってくるのがうますぎる),なかなかしんどい業界なんですが、本質的に重要です
>(まあ,どうかなーと思うような話も多いですが。。。).
>もちろん,どう適用していくか?もすごく重要なんですが、同時に
>「きちんと方法論やプログラムを開発していくこと」も同じぐらい重要です,といいたいです.
>せめて予算の半分は,こういう陰気な分野につけていただきたいです(という愚痴です).
>
>10年もたったら世界的に「電子状態計算コード」は,かなり整理統合が進んでくると思います。
>このままでは日本発のものは,開発者(=利用者)がいなくなったら,
>そのまま衰退しなくなっていくものがほとんどだろうと思います。
>大体が,中途半端に世界の後追いしても仕方ないです。ソフトウエアはロケット
>とかとはだいぶ違うんですね----1個作るのと1億個作るのの手間は同じなんですから。。。
>
>でも,AkaiKKRは,いくつか重要な特徴があって,
>10年後でも世界レベルでの競争に勝ち残り,電子状態計算のレベルを底上げできる
>可能性が結構あると思います。赤井先生におべんちゃらを言う気はまったくない
>です---これから,赤井先生がクレバーにやれるかどうかにかかっているでしょう。
>くそまじめ(いい点でもあるんですが)はやめてもらいたい.
>
>どうもうだうだ書いてすみません。
>
>小谷

 今、時間がないので手短に、小谷さんのおっしゃることは最もだと思います。

 筆者も出来る限り協力したいと思います。