603

[Re:01] マフィンティン半径に関する質問

Posted on : March 30, 2024 (Sat) 14:06:36

by Hitoshi GOMI

久木田さま

こんにちは。
c/aの最適化の前に、入力ファイルの原子位置のz座標が間違っているように見えます。
0.5 0 0.25 Ni1 の 0.25 の意味は、z軸方向に格子定数aの0.5倍という意味です。
意図しているのはz軸方向に格子定数cの0.5倍なので 0.25 * c/a = 0.25 * 2.047 = 0.51175 となります。
正しくは以下のようになるはずです。

c atmicx(in the unit of a) atmtyp
0.0 0.0 0.0 Nb
0.5 0.0 0.51175 Ni1
0.0 0.5 0.51175 Ni1
0.0 0.0 1.0235 Ni2

c/aの最適化の前に、状態密度などを文献値と比較してみるのをお勧めします。

―――――

c/aを最適化するときのrmtの決め方については、このルールさえ守っていればオッケーと言うのは無いと思います。
とりあえず把握しておかなければいけないのは、同じ結晶構造と格子定数であってもマフィンティン半径やその比によって全エネルギーが変わってしまうという事です。

AkaiKKRのMT球の充填率 その1
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-741.html
AkaiKKRのMT球の充填率 その2
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-742.html

なのでc/aの最適化のように全エネルギーを比較する場合は、条件を揃えておく必要があります。
AkaiKKRでコバルトのc/a その1
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-613.html
AkaiKKRでコバルトのc/a その2
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-614.html

どの様な半径比にするのがベストなのかは分からないのですが rmt=0 とするとデフォルト設定の値を入れてくれます。
AkaiKKRの原子半径比
http://gomisai.blog75.fc2.com/blog-entry-664.html
ただしこの半径比は、化合物ではなく、単体の体積の比を入れてくれているだけなので、あくまで目安だと思っておいた方がいいです。

なので、質問の答えとしては
(a) マフィンティン半径と半径比(とそれから必然的に決まるvolume filling)は絶対に揃えなければいけない
(b) マフィンティン半径は出来るだけ大きくしたいが、どこまで大きくできるかは調べるc/aの範囲次第
(c) 半径比の目安は rmt=0 で与えられるが、あくまで目安
(d) 同じ元素であってもサイトが異なればマフィンティン半径が異なる事はあり得る
という感じかと思います。

五味