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Re^2:Volume optimization of PbTiO3, PZT (in Japanese)

Posted on : June 01, 2005 (Wed) 01:17:48

by Yukihiro Okuno

拝啓 小林様

お返事ありがとうございます。

富士フィルム奥野です。

あれからPbTiO3などの計算を再度ためしてみました。
まず、ゴーストのほうですが、状態密度をみたかぎりではそれらしき
ものは存在しませんでした。(他の文献とあたって比較したかぎり
大きな違いはありません。状態密度しかみておりませんが。)

また、ewidthでのGreen関数の積分部分もcoreをひっかけてはいないよう
です。

で、重い元素が原因なのかとPbのfcc格子で実験したところ同じ症状
がおこってしまいました。

そこで、相対論的効果をscalar relativistiv からさらにスピン軌道相互作用
を加えた計算にしたところ、どうやらPbbの格子定数が極小をもって、格子の
大きさを増やしたら単調にエネルギーが減少するという症状はなくなりました。
極小値のところもそこそこ実験値に近いところのようです。

で、これで症状は直るかと再度PZTの計算を行っておりますが、これでも
まだ治らないようです。(やはり格子サイズとともにエネルギーが減少して
しまう。)残念。治るとおもったのですが。


重い元素のとりあつかいで、たとえば体積変化の最適値を計算する際に
MT球の半径や、スピン軌道相互作用などの効果がつよく格子定数変化に
依存するなどということはおこるものなのでしょうか?

以下Pb-fcc の入力ファイル。
srals をsra にして格子定数を増加
させるとエネルギーが単調にへる、というおかしな現象がおこる。
#####


#----------------------- input data ----------------------------#
# go/ngo/dos/dsp/spc file name
go ./data/Pb_fcc

#- primitive vector --------------------------------------#
# this aux option is only effective for newest versions of AkaiKKR
aux
0.000000000000 0.500000000000 0.500000000000
0.500000000000 0.000000000000 0.500000000000
0.500000000000 0.500000000000 0.000000000000
9.35

#- edelt ewidth nrl/sra mjw/vbh/vwn mag/nmag/-mag/rvrs/kick ------#
0.0010 1.00 srals vwn nmag

#- init/1st/2nd quit/update 0/1/2/../t/l/m/h/u iteration pmix -#
2nd update 8 100 0.02000

#- number of type -----------------------------------------------#
1
# type components rtin field l_max Z concentration----------#
Pb 1 0. 0.000 2 82 100.00

# number of atoms------------------------------------------------#
1
#- position ---------------------------------------------- type -#
0.000000000000a 0.000000000000b 0.000000000000c Pb




> 物質・材料研究機構の小林です。
>
> この現象、やはり一番思い当たるのは、「ゴーストバンドが存在する
>のではないか?」です。勿論、フェルミレベルより下にです。
> 可能なら、バンド構造を見てチェックできれば良いのですが、、、。
>
> 全電子計算を良く知る人の話として、全体の状態密度以外に、s,p,d別の
>部分状態密度(可能ならば各構成元素別)を見てみてはどうか、ということ
>でした。各部分毎に分けてみると、情報量が増えるので何か問題を見つけられる
>可能性があります(下の文章も参照)。ゴーストがあるとすれば、
>Pbの6s,6pや酸素の2p当たりが怪しいとのこと(勿論、これら以外がおかしいの
>かもしれません)。勿論、ゴーストでない可能性もあります。
> ただ、格子定数を増やして単調に全エネルギーが減少していくのは、かなり
>深刻な破綻が起こっている可能性が高く、その原因は異常なバンドの存在か、
>そもそもの計算設定に重大な見落とし、間違いが存在するとしか思えません。
>
> PbTiO3の場合、過去にこれを計算した例があるはずで、それらの結果
>(状態密度、部分状態密度など)と比較することも勧めます。
>
> あとは格子定数を大きくすると、通常バンド幅は狭まるので関係ない
>かもしれませんが、設定したバンド幅の範囲が足りないということくらい
>しか筆者には思いつきません。エバルトの計算部分が悪さをする可能性
>もありますが、筆者はコードの詳細を知らないので何とも言えません
>(この可能性は多分かなり低いです)。
>
> 以上、何かのお役に立てば幸いです。
>
>(---@---は変なメイル対策)