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Re^4:Why electrons are in vacancy? (in Japanese)
Posted on : October 01, 2002 (Tue) 00:16:01
by Kazuhiro Okamura
>>この場合、Coのスピン配置はd5とd6の中間となり、いくらか分極してほしいと思ったわけです。
>これは,化学結合的な考え(Oが-2価で,Liが+1としてCoが何価か?)に基づいた議論ですね?
>こういうことで議論できるかどうか,固体中でそういう描像が成り立つかどうかは場合場合によると思います。
>バンドを作ることで(隣の原子と波動関数が混ざり合うことで)、そういう磁気的な分極効果は
>一般には抑えられてしまいます。赤井先生(の信念)によるとLDAという近似においても,
>磁気的分極などは,大きさはずれてしまうにせよ、
>実験で磁気的分極があるのなら、およそLDAでも計算で出るであろう,とのことです.
>(非常にTcが数Kelvinでモーメントがものすごく小さいような特殊な場合は疑問ですが。。。).
そうなんですよね。LiCoO2はリチウムイオン電池の正極材料なんですが、充電状態
すなわちLi1-xCoO2 (0
(S=1/2)のシングレットが測定され、Li1-xNiO2でxの増加とともにシグナル強度は減衰し
NiO2でd6ロースピンのdiamagnetismになります。余談になってしまいましたが・・・。
たしかに、Li1-xCoO2においてCo 3d と O 2pとの混成は強いです。
FLAPWでは計算が重たいんでスピン分極の計算はしたことがないのですが、Non-spinの
計算でCoO2 (Liの全欠損状態)をみると、両者のバンドはほとんどoverlapしています。
そして、Li欠損の電荷補償にOが大きく関与しています。
これまで、この種の電池材料の電子状態計算では、連続したLi欠損状態を取り扱った事例がなく
今回 Akai-KKRに期待していることは、力ずくのスーパーセル法から脱却できるのではないかと
いうことです。
ということで今後ともよろしくお願いします。
岡村